イマジンイラク展と高遠さん講演会
かぜのねで久しぶりに写真展を開催しています。
イラクの人々の写真というと、悲惨なものを思い浮かべるかもしれません。だけど、この「イマジンイラク展」の写真は30年前のもの。1970年代にエンジニアとしてイラクに赴任していた吉原さんが撮影した、イラクがまだ平和な時代の写真ばかりです。みんな当たり前に楽しそうに暮らしています。まさかこの直後から戦争に巻き込まれ続けることになろうとは思ってもみなかったのではないでしょうか。戦争で失うものを見せつけられるような、笑顔の写真たちです。ゆっくりとご覧になってください。
さてこの写真を撮った吉原さん、毎日のように写真展会場に足を運んで下さっています。--pagebreak--仕事の合間にお話を聞いていたのですが、相当ステキです。謎なのです。彼は40代くらいから仕事をしないで暮らしてきたそうなのですが、「どうやって暮らしてきたのですか?」という問いに「それがうまく説明できないんですよー」と、本当に困った顔をされるのです。「お金がなければないなりになんとか暮らしていけますよ」と心強いお言葉。でも、私はその辺を具体的に知りたい!
長野のお家も藪の中にあるそうです。はじめは草刈りをしていたそうなのですが、毛虫たちが草を食べていることに気が付き、残しておく草が徐々に増え始め、今では外来種など取り除きたい草以外はそのままにしているとのこと。「うちの周りは、虫の種類がこの地域の中でも格段に多いはず」と胸を張っておっしゃっていました。
この飄々とした吉原さんの人と暮らしを知るためには、現地に行くしかない!と、写真展実行委員会の水野さんと長野ツアーを企画しようかと言っています。その吉原さん、10月2日(土)に岡真理さんと対談します。皆さんもこのナゾなおじさんのお話をぜひ聴きに来てください(彼の生活の話はしないと思いますが…)。詳しくは、イベントカレンダーをご覧ください。なお、2日は16時半からしか写真を見ることはできませんので、ご注意ください。
イマジンイラク展のキックオフ講演会は高遠菜穂子さんでした。身動きもできないくらいぎゅうぎゅう詰めの部屋で、2時間ぶっ続けの講演でしたが、あまりの内容の濃さに参加者は身動きもせず、話に集中していました。話の内容も、映像も、衝撃的でしたが、私は高遠さんが「これは私の戦争です」と語っていたのがなんだかズンときました。話をしている姿からも覚悟が感じられました。
報告したいことは山ほどありますが、一つだけ紹介しますね。イラク戦争で、日本は自衛隊を多国籍軍の一部としてイラクに送り込みました(人道支援・復興支援という名目で)。その結果、NGOや市民団体などの活動も難しくなってしまったそうです。イラクでは軍隊を送りこんでいる日本への信頼が崩れ、日本の団体と連絡を取り合っていた地元団体ではそれが理由で拷問を受ける人さえいたそうです。それでも高遠さんをはじめとした日本の援助団体やパートナーのイラクの団体は粘り強く最も支援が必要な地域の人たちを中心に緊急支援・援助活動を続けてきました。もちろん日本からの援助だということは伏せて。その結果、最近では日本からの援助だということを公言しても大丈夫なほど、日本の民間支援に対する評価や信頼が回復してきたとのことでした。
国の政策も重要ですが、民際交流に希望を感じてしまう私です。
その国の政策ですが、そもそもイラク戦争に参加するという決定とその過程を検証する必要があるのではないかと高遠さんは強調していました。なぜならば、イラク戦争の大義名分はほとんど嘘だったということがわかってきているからです。そんな戦争のために多くの人々の命と生活が失われてきました。私たちのお金も使われてきたのです。何の反省も検証もなく済ませてしまっては、また同じ間違いを起こすことにもつながりかねません。詳しくは、下記のサイトをご覧ください。
イラク戦争の検証を求めるネットワーク
http://iraqwar-inquiry.net/
イマジンイラク展は10月3日(日)まで開催しています。まだご覧になっていない方は、ぜひお茶を飲みがてら(もちろん飲食をしなくても全然かまいませんよ)ご来店ください。