かぜのねの変化〜協同経営について
今年はブログを思いっきりさぼってしまいました。あっという間に年末です。先日、年に2回やっている大掃除を終わらせ、今年のかぜのね仕事はおおむね終了しました。それと同時に、これまでキッチンで料理を担当してきたなっちゃんと金津くんがかぜのねから旅立ちました。毎日のように、当たり前のように顔を合わせていた仲間が去るのは寂しいものです。--pagebreak--
なっちゃんは、前任のこうちゃんがかぜのねから転職することになった際にキッチンを引き継いでくれました。かなりバタバタと時間がない中で引き継ぎを終わらせ、日常の営業を支えるようになりましたが、相当な負担があったと思います。さらに彼女は仕事とは別に東日本からの子どもたちのための保養キャンプを主催する活動もやっていました。原発事故後の食材についてなど、悩みつつも、安心できる、やさしい味の食事を提供し続けてくれました。協同経営者の中では一番若かったのですが、しっかり者のなっちゃんの存在はとても大きかったです。
金津くんはなっちゃんより少しあとからかぜのねに参加しました。某国立大学の理系の博士課程で研究していた人が、かぜのねで働く選択をしたのです。協同経営という形態で営業しているということに興味を持ってくれました。インターネットやパソコンについてかなり詳しく、彼が働いていた期間にどれだけその方面のことで助けられたことか! さらにフリーソフトやオープンリソースなどの概念を教えてくれて、私の世界が広がりました。かぜのねのメニューのレシピ集を作って公開してくれたのも金津くんです。こういった考え方は、これから社会のあり方を考える際の大きなヒントになると思います。
二人ともお疲れさまでした。そして、ありがとう。これからも違った形で、関われたらいいなぁ。
さて、金津くんが興味を持ってくれた協同経営という運営方法。かぜのねが7年間活動してきた中で、だいぶ私もこういった運営方法のメリットと限界を整理することができてきました。あくまでもかぜのねの場合ということですが、私なりに少しだけまとめてみたいと思います。
かぜのねは立ち上げから一緒に始めた3人の協同経営者がいます。この3人は、設立前に数十万から数百万円の出資金をそれぞれの経済状況に応じて出し合い、かぜのね全体(カフェ、多目的スペース、オフィス)の経営を今でもしています。こちらの出資金の返済はまだまだ時間がかかりそうです。
そして、かぜのねのカフェの経営は、スタッフとして働く4人を中心にこちらも協同経営で行ってきました。出資金は、新しいメンバーが入る時には実質必要なかったため、形式上数万円を入れてもらいました。生協の組合員になるのと同じような感じです。カフェの運営に関しては、基本的にこの4人で毎月ミーティングをして決めてきました。
協同経営といった時に、多額の出資をし合うという行為は、リスクを共有するという意味を持ち、設立時の苦労と共に、どうしてもあとから参加した人たちが共有し得ない部分となってしまいます。かぜのねは約7年の運営中にスタッフの入れ替わりがすでに2回もある、人の出入りが比較的多い組織なので、その辺の意識のギャップは必然のものでした。
念のために言っておきますが、少なくとも私の認識ではスタッフは皆大人で、仲がよく、チームワークもよかったと思っています。ただ、経営の議論の際には、出資金返済と各人へのお給料への振り分け割合で、その辺の認識の違いが出て来た時もありました。でも、これはある意味構造的な問題でもあったのかなと考えています。
協同経営はどうも否定的に考えられることが私の周りでは多いようなのですが、私は実際に経験してみて、この方法でかぜのねを運営していけてよかったと今でも思っています。わかりやすいことで言えば、それぞれのスタッフの強みを活かし合いながら運営していけるということや、確定申告では個人経営者の集合という形で申請しているので、利潤の合計をスタッフ数で割って、各自申請することによって、今でも消費税をかけることなく経営することができています。しかし、なによりも民主的なプロセスで意思決定して、ある程度納得(せざるを得ない)して働くことができるという点は、協同経営の一番の良さではないでしょうか。
そう感じることができるのも、ひとえに協力的で、我慢強く議論をすることができるメンバーと一緒に組んだからなのかもしれません。私自身が、協同経営という方法のおかげでだいぶ成長できたと感じています。
さて、今年いっぱいでキッチンの2人が去るということで、来年からカフェスペースの経営は協同経営ではなく、スタッフのダイスケ一人に任せることになりました。協同経営もよかったのですが、その時の状況の応じて経営の仕方も柔軟に変えていきたいと思います。かぜのね全体の運営は引き続き、当初の協同経営者でやっていきたいと考えています。
来年からの新生かぜのねはどんな感じになるのでしょう? 私も楽しみです。これまでのよさを引き継ぎながら、新しい風を通すことができたらいいなぁと期待しています。
ということで、来年もかぜのねをどうぞよろしくお願いします。
皆さま、よいお年をお迎えください。